サンドブラストって何? |
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サンドブラストとは砂を吹き付けるという意味ですが、工芸の世界では研磨材 の粉末を対象物に高圧で吹き付けることによりその表面を荒らしたり削り取ったりして彫刻することをいいます。工業的には複雑な形の金属製品の表面の錆びを落として塗装しやすくしたり身近な例では透明ガラスの表面をスリガラスにしたり墓石に文字を彫刻したりすることがあります。しゃれたレストランや喫茶店でドアや間仕切りのガラスに文字や絵を彫刻してあるのをご覧になったことはありますか。印刷されたシートを貼ったものもありますが、やはりハッと目を引くのは、ガラスの表面をサンドブラストしてさまざまな図柄を描いたエッチングガラスです。エッチングとは元々化学的に対象物の表面を腐食させて図柄を描くこと(銅板エッチングによる版画が有名)ですが、サンドブラストによるものも便宜的にエッチングガラスと呼んでいます。サンドブラストはガラス板に限らず、鏡、グラスやガラス器、石板、木板、金属板、アクリル板などを対象にすることができます。 | ||||
サンドブラスト彫刻の特徴 |
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サンドブラストで素材に彫刻やマーキングすることは以前から行なわれておりましたが、プリントや印刷よりも実際に彫刻する前段階での準備作業に多くの工程があり、それが個々の素材それぞれにかかってくるため大量に同時処理することが出来ません。またコンピューターが発達する以前は後述する重要な工程であるマスキングシートの作成をまったくの手作業でおこなっていたため時間がかかり、結果的に高価な手法となっておりました。現在でも趣味工芸の世界や大判のガラスに段彫りする建築用の場合などではマスキングシートを手作業でカッターを使用して少しずつ切り抜いていく方法で行なっておりますが、コンピューターを利用したカットや写真製版によるマスクの作成が一般的になって普及に拍車がかかってきました。 | ||||
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サンドブラストにより素材の表面を彫刻マーキングをするためにはマスキングという手法を行ないます。サンドブラストをするために細かい粉末の研磨材を高圧で素材に吹き付けますが、その際に素材の表面は研磨材の粒子により荒らされたり削り取られたりします。そこで研磨材を当てたくない部分は素材の表面を保護するための材料で覆っておきます(マスクする)。この研磨材の粉末をはねかえして素材の表面を保護する役目をする材料をマスキングシートといいます。 | ||||
マスキングシート |
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マスキングシートは彫刻しようとする素材に密着して貼り付け無ければなりません。そうしないと高圧で吹き付ける細かい研磨材がほんの少しの隙間にも入り込むからです。また作業が終った後にマスキングシートは剥がさなければなりません。したがってマスキングシートの材料は貼るときはしっかり素材に密着し、剥がすときは容易に剥がせるような材料でなければならないのです。また高圧の研磨材をはねかえす強度をもっていなければなりません。 | ||||
マスキングシートの材料 |
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一般的に十分な厚みの樹脂シートがマスキングシートの材料として使われます。また粘着できるビニールテープなどは簡易に使用できます。 | ||||
マスクを作る |
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素材に図柄を彫刻するにはマスキングシートを図柄のとおりに切り抜く必要があります。これはマスキングシートの材料を彫刻しようとする素材に貼り付けておいて、あとからカッターで切り抜く方法とあらかじめ切り抜いたマスキングシートを貼り付ける方法があります。あとから切り抜く方法は趣味や工芸ではよく使用されますが、時間がかかるうえ細密な図柄では限界があります。あらかじめ切り抜いたマスキングシートを使用するのは量産する場合や細密な図柄のマスクの場合で、台紙のついたシートをコンピュータでカッティングして貼り付けてから台紙を剥がす方法が一般的です。また写真製版の方法で特殊樹脂によりマスクを作る方法もあります。 | ||||
マスクを貼る |
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素材にマスキングシートを貼り付けるのに粘着剤のついたシートを使用する場合が多いのですが特殊な接着剤を使用する場合もあります。いずれにしてもサンドブラストでは大きな圧力がかかるため容易に剥がれないように注意する必要があります。 | ||||
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サンドブラスト彫刻する上で大事なことがあります。彫刻しようとする素材にマスキングシートを貼ることが出来なければ彫刻は出来ないということです。極端に湾曲していたり、表面がでこぼこの素材はマスキングシートが貼れないことがあります。マスキングシートを貼る面は平滑で平面であることが重要なのです。といっても程度の問題なので、少しくらい湾曲していたり、でこぼこしていてもマスキングシートの貼り方によっては支障が無い場合もあります。この場合実際に作業してみないと分からないこともあります。 | ||||
素材の制約その2 |
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素材そのものはサンドブラスト彫刻ができる素材であることが必要です。容易に彫刻できる素材はガラスや陶器、大理石などの石材です。つまり硬くて脆い素材ほどサンドブラスト彫刻に向いています。プラスチックや樹脂は軟らかくマスキングの材料に使うほどですから彫刻が出来ません。木材は表面処理をして平滑にすれば彫刻できます。金属は硬いのですが粘りのある素材であるためガラスや陶器のように深く彫り込むことは出来ませんが細密な図柄をマーキングするには適しています。
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素材の制約その3 |
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素材に彫刻する際に研磨材を吹き付けるには安全のため一定の大きさのチャンバーボックス内で行ないますので彫刻しようとする素材はボックスの中に入るおおきさでなければなりません。ボックスの大きさはコップ一個しか入らないような小さなものから自動車が入るような大きなものまでありますのでサンドブラストを依頼する場合は作業所の状況を確認する必要がありましょう。 | ||||
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サンドブラストで実際に彫刻する手法としては一般的に2種類あります。平彫りはマーキングなどを行なう場合に普通に使われる手法です。段彫りは趣味や工芸品に良く使われる手法で彫刻した描線の光による反射や屈折でアートな表現を生み出す手法です。 | ||||
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ガラスや陶器に彩色するには特殊な印刷による方法や特殊な塗料でデザインして焼き付けるなどを行ないますがサンドブラストで彫刻するとその部分は凹凸になり塗料のつく部分は素材の表面よりへこんでいるため塗装の定着性と耐久性が良くなります。サンドブラスト自体が大量生産できない手法であることに加え、さらに多色で彩色することは趣味の範囲であればいざ知らず作業には根気と労力が必要となります。それだけに出来た製品のオリジナル性は格別なものになります。 | ||||
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